webサイト運営には必ずKPIが設定されていることかと思いますが、特に重要な指標としては
・セッション、UU、クリックといった集客に関する指標
・購入率や申込み率などのCVRに関する指標
の目標設定をすることで、コンバージョン数・資料請求の数の予測をたて、平均単価を掛け合わせることで、売上予測を立てます。
これからサイトを始めようという人にとって予測しずらいのがCVR(成約率)。また業界やサイトによってかなり違うため、なかなか分かりづらいことも多いです。
初めのうちはまずは集客をしないことには始まりませんから、集客数を最大化させていくべきですが、ある程度集まってくると伸び率が減少していきます。そこで重要なのがCVRです。
ECサイトの場合、CVRを細かく分解すると、一般的なサイトであれば
という流れになるかと思います。
CVRの最大化という点でいうと、①→②、②→③、③→④、④→⑤の各遷移率を向上させることで全体のCVRを底上げしていく形になります。
ただ自社サイトが果たしてどこに問題があるのかって、自分たちの数値だけを見てもなかなかわかりにくいと思います。
なので今回は、CVRの平均ってどんくらい?やカゴ落ち率の平均はどの程度?ということを数値でまとめてみました。
業界別の平均コンバージョン率
以下はよくいろんなサイトで目にしますが、大手マーケティング調査会社「MarketingSherpa」によると、業界別のCVRは以下。
コンサルティング・ファイナンス 10%
メディア・出版 10%
教育・医療 8%
ソフトウェア・クラウド 7%
技術機器・ハードウェア 5%
製造業・生産財 4%
旅行・サービス業 4%
小売・EC 3%
非営利団体 2%
その他 8%
こちらはECサイトとは関係なく、申込みフォームなどの数値も含まれるため、ECサイト担当からすると、こんなに高いの!?となるかもしれませんが、資料請求等も含め、あくまで業界別の様々なCVRを平均したものです。
ECサイトの平均コンバージョン率
じゃあECサイトの平均CVRってどのくらいかというと、これも様々なデータが出ていますが、概ね1%~2%の間が平均値のようです。
同じECサイトをとってもモール型で全商品網羅型と、ニッチで特殊な商品を販売しているECサイトでは、明確な目的をもってユーザは訪問しているわけですから、当然後者のほうがCVRは高くなりますし、商材によってもまちまちかと思いますのであくまで参考になりますが、
2%以上が平均以上ということを一つの指標として使う分にはよいと思います。
では、この2%以上のCVRを目指すにはどこをどう改善すればよいか。
そこで気になるのが、上述した各ページの遷移率になります。これが高いか低いかを見て、どのページを改善していくか決めるのも非常に重要な要素です。
商品一覧から商品詳細の遷移率平均
まず見ていきたいのが、商品一覧から商品詳細への遷移率です。
大体SEOで狙ったり、告知するのが商品単体よりも商品一覧(カテゴリページなど)が多いかと思います。
ここを改善することによってCVまでたどり着く数が増えます。平均は以下のようです。
まず有名・大手のECサイト訪問(ランディングページ)から商品ページに遷移する平均遷移率が40%~50%でした。
ECサイトの購入率は2%あるの?有名・大手の平均購入率を発表ECサイトの売上高は「集客数×購入率×客単価」で計算ができます。ECサイトの売上をアップさせるには各指標の数値を上げていくことが重要なのですが、どれくらいが平均なの?と聞かれることが多いです。集客数と客単価に関しては、広告出稿や商品力、商材によって様々なので一概に説明はできません。ですが購入率における指標については、私...
なので、遷移率が50%以下のサイトは改善の余地ありです。
カート投入率の平均
次に見ていきたいのが、カートの投入率です。
商品詳細までたどり着いたユーザがどのくらいの割合でカート画面に遷移するのかです。
セールスフォース・ドットコムのブログでは、大体3%~5%ということが分かります。
ECサイトの購入率は2%あるの?有名・大手の平均購入率を発表
ECサイトの売上高は 「集客数×購入率×客単価」 で計算ができます。 ECサイトの売上をアップさせるには各指標の数値を上げていくことが重要なのですが、どれくらいが平均なの?と聞かれることが多いです。集客数と客単価に関しては、広告出稿や商品力、商材によって様々なので一概に説明はできません。 …
こちらには5%~8%という記述もありますので、間をとってカート投入率は5%くらいが大体平均値ではないかと考えています。
ECサイトのかご落ち率
それでは最後にカゴ落ち率を見ていきたいと思います。
カゴ落ち率はカートに入れてから購入しなかった率です。以下が様々な調査会社から出ているデータです。
●baymardの調査ではカゴ落ち率69.57%(2019)
49 Cart Abandonment Rate Statistics 2024 – Cart & Checkout – Baymard InstituteA comprehensive list of 49 different e-commerce cart abandonment rate statistics, and large-scale qualitative survey results on why people abandon.●SaleCycleの調査ではカゴ落ち率は75.6%(旅行業界は81.1%!!)
https://blog.salecycle.com/cart-abandonment-stats/●BI Intelligenceの調査ではカゴ落ち率は71%(2013)
●Barilliance 68.81%(2016)
カート離脱率に関しては平均70%ほどで考えて良いかと思います。
なので、担当者としてはサイトにもよりますが、60%以下を目指すべきかと考えます。
要はカート→CV完了までの達成率を40%以上を目指すべきと言い換えられます。
CVR・各遷移率の本当の平均
ということでまとめると、
商品一覧
↓(50%遷移)
商品詳細 ←直接ランディング
↓(5%遷移)
カート
↓(30%遷移)
CV
ということになるので、商品一覧ページからのCV平均は
50%×5%×30%=0.75%となります。
ただし、商品詳細ページへの直接ランディングもありますので、そちらの計算も加味したいと思います。商品詳細ページのCVRは商品一覧の遷移率をはさみませんので、
商品詳細からカートの遷移率5%×カートからCVの遷移率30%=1.5%となります。
私の経験上では大体、商品一覧ページと商品詳細ページのランディングが半々くらいということを考えると、
(0.75%+1.5%)/2=1.13% で、平均CVRの1%~2%に合致します。
ただし、目標設定としては高めに設定しておきたいところなので、1%~2%中間の1.5%に近づくように補正をしたいと思います。
これまで述べてきた平均データの中でも高めの数値を利用して補正した数値が以下です。
商品一覧
↓(50%遷移)
商品詳細 ←半数が直接ランディング
↓(6%遷移)
カート
↓(32%遷移)※カゴ落ち率68%
CV【CVR1.44%】
実際の平均値はこのあたりが近いのではないかなと思います。そして最終的に平均値(目標とすべき数値)としてまとめたものが以下になります。
遷移 | 目標値(これより低いと改善の余地が大きい) |
①商品一覧→商品詳細 | 50% |
②商品詳細→カート投入 | 6% |
③カート投入→CV | 32% |
A.商品一覧ランディングCVR | 0.96% |
B.商品詳細ランディングCVR | 1.9% |
C.全体のCVR | 1.44% |
平均値に対して低い場合の改善案
上記数値と比較して自社サイトが悪い場合、以下のような改善が考えられます。
①商品一覧→商品詳細が低い場合
商品数は十分か / 一覧ページの商品情報の表示項目 / 検索機能の見直し / カテゴリは探しやすいか / 検索結果等で0件ページが表示されやすくなっていないか /
②商品詳細→カート投入が低い場合
送料などを含む総額が明確か / 商品詳細ページの商品情報の表示項目 / いつ届くか明確か / 在庫切れなどのチェック / カートボタンが分かりにくくないか / 他の商品やカテゴリへの導線はあるか /
③カート投入→CVが低い場合
送料などを含む総額が明確か / キャンセル料等は明確か / 会員登録がCVを阻害していないか / 入力する情報が多すぎないか / 購入までのプロセスは明確か / セキュリティ等不安にさせる要素は無いか /
参考までにBaymard Instituteの調査で離脱したユーザのアンケート結果をご紹介します。
以下のような項目を見直すことによって改善が図れる可能性があります。
61% 手数料 や 送料 など 追加コスト が高い
35% 会員登録 するのが手間だった
27% 購入 まで プロセス が長すぎる
24% トータルコスト が高かった
22% サイト で エラー が出た
18% カード の情報を入力したくない
16% 届くまでが遅い
10% 返品条件 が満足できない
8% セキュリティーチェック が多すぎた
5% カード が使えなかった
いかがでしたでしょうか。
こちらの記事では、私自身、CVRとそれぞれの購入導線の遷移率はどの程度が適正なのかということが分からなかったため、調査をしました。
データのソースが多いわけではないので、あくまで目安程度ですが、大体平均値でいうと近い数値なのではないかと思います。
改善施策の立案にお役に立てていただければ幸いです。
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